【光のほうへ】 SUBMARINO デンマーク 2010
監督・脚本:トマス・ヴィンターベア 原作:ヨナス・T・ベングトソン 脚本:トビアス・リンホルム
出演:ヤコブ・セーダーグレン / ペーター・プラウボー / パトリシア・シューマン / モーテン・ローセ 他
監督・脚本:トマス・ヴィンターベア 原作:ヨナス・T・ベングトソン 脚本:トビアス・リンホルム
出演:ヤコブ・セーダーグレン / ペーター・プラウボー / パトリシア・シューマン / モーテン・ローセ 他
このトマス・ヴィンターベア監督の作品は、あのラース・フォン・トリアーが脚本を書いた 『DEAR WENDY ディア・ウェンディ』 だけしか観たことないのですが、本作を鑑賞してみて、その映画作家としての力強さみたいなモノを充分感じさせてもらいました。
アルコール依存症で育児放棄の母親に代わり、兄弟2人は懸命に末弟である赤ん坊の世話をしていました。
しかし、ある夜ちょっと目を離したことから赤ん坊が突然死。
しかし、ある夜ちょっと目を離したことから赤ん坊が突然死。
その死に、深い哀しみと責任の重さを抱いたまま兄弟は成長していく事になります。
そして現在、デンマークのコペンハーゲン。
その母親の死をキッカケに疎遠になっていた兄弟は再会。
その母親の死をキッカケに疎遠になっていた兄弟は再会。
兄ニック (ヤコブ・セーダーグレン) は、弟 (ペーター・プラウボー) の子供であるマーティンの行く末が気がかりになりますが・・・。
北欧の国デンマークと言えば福祉国家とも呼ばれるぐらいの社会背景だったと思いますが、本作ではそんな事なんか寄せ付けもしないぐらいの悲惨な状況下を垣間見せる兄弟の話なんですねぇ。
兄のニックは恋人のアナとのいざこざで刑務所暮らしを送るハメになり、最近出所したばかりで今は臨時宿泊所暮らしなんですね。
弟の方はと言うと、妻を事故で亡くし息子のマーティンと2人暮らし。
幼稚園に通うマーティンを育てながら、一方では麻薬常習者の顔を持つ父親なんですね。
事故で亡くなった妻共々、ジャンキー夫婦だったんです。
幼稚園に通うマーティンを育てながら、一方では麻薬常習者の顔を持つ父親なんですね。
事故で亡くなった妻共々、ジャンキー夫婦だったんです。
そんな兄弟が母親の葬儀で再会。
まず巧い物語構成だと思うのは、母親の葬儀を物語の基点として兄弟ひとりずつに焦点を当てて描いてる事。
兄ニックに焦点を当てて描かれる前半。 中盤からは弟に焦点を当てた物語。
兄ニックに焦点を当てて描かれる前半。 中盤からは弟に焦点を当てた物語。
その中にはお互いの物語にシンクロするシーン (電話や街角の出来事やTV番組など) が登場して、ラストへ向かう後半には繋がりを見せていくと言った構成になってます。
その物語構成が、より話を感慨深くさせる形になってると言っても良いでしょうねぇ。
しかしその物語は過酷ですね。
荒んだ兄弟の心のうちを、よく反映してる物語描写が秀逸だと思います。
荒んだ兄弟の心のうちを、よく反映してる物語描写が秀逸だと思います。
でもラストで迎える感動はなんなんだろ?
幼子を死なせたトラウマが成長しても消えず、弟を麻薬に走らせたのだと思うのは安易に想像が付く事なんですけど、それがあぁ言う形で終結するとは。
その思いを真っ向に受けた兄ニックが、弟の息子マーティンに語ろうとする秘密で映画は終り。
子供の頃の回想シーンで、なんとも言えない感慨を残す物語でした。
子供の頃の回想シーンで、なんとも言えない感慨を残す物語でした。
この映画、自国のデンマークアカデミー賞で5部門ほど獲得した秀作なんですね。