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ゼロ・ダーク・サーティ

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【ゼロ・ダーク・サーティ】 ZERO DARK THIRTY アメリカ 2012
監督:キャスリン・ビグロー出演:ジェシカ・チャステイン/ジェイソン・クラーク/ジェニファー・イーリー/ジェームズ・ガンドルフィーニ 他
 
 
 
 
 
タイトルは軍事用語で 「0時30分」 の意味。 ビン・ラディン急襲を行なった時間ですね。
 
そのオサマ・ビンラディン追跡・殺害に至るまでその舞台裏を、中心的役割を担ったCIA女性分析官マヤを主人公に描いた一作。
 
監督は 『ハートロッカー』 のキャスリン・ビグロー、脚本は前作と同じマーク・ボールというコンビだから、それだけでも興味津々の鑑賞でした。
 
冒頭クレジットで、"証言を基に描いた作品である" と映し出されます。
 
事実は事実に間違いないけど、これは映画であるのでフィクションが加わるのも承知。
しかし、報道では知りえない新事実や暗殺に至るまでの過程を得るのであるから、それだけでも貴重ってもん。
 
 
 
 
キャスリン・ビグロー監督のスタイルは、あくまで骨太ですね。
 
全編に緊張感が漂うストーリー展開の中で、ジェシカ・チャステイン演じるCIAパキスタン支局の分析官マヤの個性が、良い "緩衝地帯" となってました。
 
でも分析官マヤは、執念と自分が信じる正義を押し通す一本気な女性。
「何もしなかったリスクを考えて!」、と上司である支局長に食ってかかるシーンは圧巻ですね。
 
9・11の張本人ビン・ラディン追跡と言えども、テロとの闘いに忙殺される当局、そしてアメリカ。
変質してゆくアメリカ自体に渇を入れるひと言にも取れましたよ。
 
そんなマヤの分析根性を追って行きながら、要所要所で重要犯の尋問や拷問、自爆テロの惨事、アルカイダの襲撃、そしてクライマックスのアメリカ海軍特殊部隊シールズによる急襲へとなだれ込むワケです。
 
158分の尺で中だるみ無く、時間を感じさせない展開はさすがとしか言いようがありませんでしたねぇ。
無駄がない編集や演出、どれをとっても "映画" としては一流の作品なのを実感しましたよ。
 
先に書いたように、こういう骨太の政治的テーマの作品にしては観る側に疲れを感じさせす、一気に見せるところもジェシカ・チャステイン演じるマヤのキャラクターが成功してるのではないのかな。 でもこの作品は観る側の興味次第だろうと思うけど。
 
 
ビン・ラディン追跡はCIAパキスタン支局のみが行なってた。
シールズが決行した急襲作戦で使われたステルス戦闘ヘリ (アパッチ) の一機が現場で墜落。
ビン・ラディンの暗号名は "ジェロニモ"、などなどの新事実も面白かった。
 
個人的には、作品的にはアカデミー作品賞に値すると思います。 ・・・けど今回は獲れないだろうねぇ。
キャスリン・ビグローが監督賞候補から外れたのも納得がいかない。(『アルゴ』 のベン・アフレックも同様に)
 
まぁアカデミー賞と言っても、昔から納得いかないところが多々あるのは承知だけど。
 
 
ラスト、マヤに問いかけるあの言葉、『どこへ行こうとしてるんだい?』
そして、ひと筋の涙を流すマヤのクローズアップ。
 
自分としてはあの言葉は、変質して行く、そして懲りないアメリカそのものへの問いかけだと感じましたが。
 


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