【アンヴィル!夢を諦めきれない男たち】 ANVIL! THE STORY OF ANVIL アメリカ 2009
監督:サーシャ・ガヴァシ 出演:スティーヴ・“リップス”・クドロー / ロブ・ライナー 他
(インディペンデント・スピリット賞 ドキュメンタリー賞受賞)
自分はですね~ヘヴィ・メタルはあんまし聴かなかったので、このドキュメント映画の主人公である "アンヴィル"というバンドの知識は皆無状態やったんですね。 まぁ、メタル音楽自体疎く、メタリカなど有名どころのグループしか知らないって感じです。(笑)
こちらのドキュメントは、1970年代に結成したカナダのヘヴィメタバンドのアンヴィル。
50歳を迎えた現在でも現役で突っ走っている、ヴォーカルのリップスとドラムのロブのオリジナルメンバーを中心に、そのホロ苦く、それでいて失わないスピリッツを追った一作なんですね。
冒頭は、1984年に日本で開催されたフェスの記録映像で始まります。
スコーピオンズやボン・ジョビなど、名だたるバンドと共にステージに立つアンヴィル。
ヴァイブレーターでギターを弾き、独特のボンテージファッションでシャウトするリップス。
なんでもこのアンヴィル、今をときめく有名バンドに少なからず影響を与えたそうな。
しかしこの後はヒットも無く、泣かず飛ばずで早や30年が過ぎ。
地元のカナダではライブハウスでステージに立つも、客は100人ほどが精一杯って感じです。
リップスもロブも家庭を持ち、バイト仕事で生計を立てるのがやっと。
それでも音楽はやめることは考えもせず、50歳になった今でもビッグヒットで返り咲きを夢見てる現状。
まぁ~今まで10数枚のアルバムを出してるみたいなんですが、今の状態ではアルバム製作をするだけの資金もなし。 ラッキーにも入ったヨーロッパツアーでもギャラさえ払ってもらえない扱い。
やっとの思いでアルバム制作活動を再開し始めるんですが、感情の激しいリップスはドラマーのロブと衝突。
どちらかといえば寡黙なロブに辛く当たるリップスなんですが、そこにこの2人の稀な友情を見せるんですよ。
泣きながらロブに謝るリップスは、さらに音楽への愛情を訴えるんですねぇ。
14歳で出会い、バンドを結成し、人生の大半を一緒に過ごしたリップスとロブ。
音楽が好きなのは充分伝わってきますが、50歳になった現在でも続けてる訳はこの友情ゆえに・・・かも。
やっとの思いで完成にこぎつけた新アルバムですが、リリースに向けてレコード会社を回っても全部ボツ。
仕方なく手売りを始めたそのアルバムはやがて日本のプロモーターの知るところになり、20数年ぶりでジャパン・フェスへの招待を受けます。
日本で始まり、日本で締めくくるアンヴィルのドキュメント。
「ヒットするかしないかは問題ではない。 自分たちのベストアルバムが作れたら、それで幸せ。」
こういうニュアンスで訴えるリップスに、真のアーティスト魂を見ました。
そのスピリッツが30年以上バンドを続けてこれた理由でもあるんでしょうねぇ。 ・・・売れなくても。
メタル音楽を知らなくても、音楽好きな人なら観て損はないドキュメントですね。
監督のサーシャ・ガヴァシ自身もアンヴィルの大ファンだったと言うから、その熱いメッセージも垣間見れる作りとなってます。 この方、来年公開される 『ヒッチコック』 (アンソニー・ホプキンスがアルフレッド・ヒッチコックを演じる) の監督をやってるんですね。