【Grounded】 2012 製作・監督・脚本・編集・VFX:Kevin Margo 音楽:Ken Andrews 出演:Derron Ross
WEB上で公開してるショートフィルムなんですが、あるサイトの紹介で知った一作なんですよ。
短編映画として多くの映画賞を獲得してる一作で、特に特撮の評価が高い作品です。
7分少々のこの作品の物語は、ある宇宙飛行士が宇宙船の事故である惑星に落下するところから始まります。
見渡す限り荒野の惑星で奇跡的に息を吹き返した男は、その傍らに別の宇宙飛行士が横たわってるのを発見。
その宇宙飛行士はなんと男と同じ顔をした人物。 そんなパニックに陥った男の頭上に何かが落下してきます。
それは男と同じように宇宙船から脱出して落ちてくる宇宙飛行士でした・・・。
この辺りまでが前半。不可解な物語は、さらに不可解さを増して後半に進みます。
とあるブログを拝見しましたら、この物語は魂の輪廻転生ではないかと綴っておりました。
それは後半を観たら頷けもする解釈なんですが、やはり観る側の解釈の仕方の自由さが醍醐味ですね。
最初に観た時はアッケにとられ、その後もう一度見返したぐらいですから。(笑)
もちろん、この背景の説明などは皆無です。
どこの惑星なのか? なぜ横たわる "自分" がここに居るのか?
後半、不毛な仕事(?)を繰り返す描写を観て、真っ先に頭に浮かんだのがアルベール・カミュ著の 『シーシュポスの神話』 の不条理さなんですよね。
神の怒りを買った男が、その罰として大きな岩を山頂に運ぶと言う繰り返しの動作。
岩を運び終えたら、その岩が転がり落ちてしまい、またその岩を山頂まで運ぶ。
終わりのない、何の意味があるかも分らない不条理な物語です。
そんな哲学的なメッセージ性も、このショートフィルムの魅力なのかも。
しかし一番の見どころは、その映像のクォリティの高さなんですよ。
ちょっと時間と興味があれば、こちらでご覧くださいまし。 → "Grounded " on Vimeo