【撤退】 DISENGAGEMENT イスラエル・フランス 他 2007 (未)
監督・脚本:アモス・ギタイ 製作:ロラン・トルショ 脚本:マリー=ジョゼ・サンセルム
出演:ジュリエット・ビノシュ / リロン・レヴォ / ジャンヌ・モロー / ヒアム・アッバス / アモス・ギタイ 他
監督・脚本:アモス・ギタイ 製作:ロラン・トルショ 脚本:マリー=ジョゼ・サンセルム
出演:ジュリエット・ビノシュ / リロン・レヴォ / ジャンヌ・モロー / ヒアム・アッバス / アモス・ギタイ 他
イスラエル出身のユダヤ人監督アモス・ギタイが、時のイスラエル首相 ('05当時) シャロンの政治判断によって決定実行した "ガザ地区からの撤退" に着想を得て描いた一作です。
ガザ地区とはイスラエルが4度に渡るアラブとの戦争で奪い取った土地。
そこには140万人のパレスチナ人が暮らしてるのですが、イスラエル政府は入植地としてユダヤ人の移住を推し進めてきました。 ヨルダン川西岸の入植地と並び、このガザ地区はパレスチナ人が多く暮らしています。
でもシャロン首相の判断でそこに暮らすユダヤ人 (約8000人) を強制退去させる羽目になってしまったんです。
その事実を背景に、ジュリエット・ビノシュ演じるユダヤ系フランス人女性アナが入植地ガザへ娘を探しに行く物語を描いてます。
アモス・ギタイ監督の作品はそんなに多くは観てませんが、『フリー・ゾーン 明日が見える場所』 を観た時にも感じた感覚で、この監督の作風は分かるような気がします。
冒頭、列車の中でイスラエル系の男とパレスチナ系の女の会話が映し出されます。
パレスチナ系の女性にタバコを貰おうとする男 (イスラエル警官のウリ)。
パレスチナ系の女性にタバコを貰おうとする男 (イスラエル警官のウリ)。
何気ない会話の最中、乗車切符を確認しに来た車掌の執拗な質問に嫌気が差し、車掌に怒りをぶちまけます。
その後、意気投合したと感じた2人はキスを交わす。
その後、意気投合したと感じた2人はキスを交わす。
何気ないエピソードのようで、意味あるシーンだと思います。
導入部のこういうシーンでこの監督らしさが見えるような気が。
導入部のこういうシーンでこの監督らしさが見えるような気が。
そしてシーンはイスラエル警官ウリ (リロン・レヴォ) が父親の葬儀に参列するため我が家に戻ってくる場面に。
待っていたのはジュリエット・ビノシュ演じる姉のアナ。
でもこの姉弟に血の繋がりは無いんですね。 弟のウリは養子として父親が貰ってきた子供。
でもこの姉弟に血の繋がりは無いんですね。 弟のウリは養子として父親が貰ってきた子供。
その葬儀の後、父親の弁護士から遺書に綴られていた事実を聞かされます。
アナの娘がガザに居ると。
アナの娘がガザに居ると。
アナは子供を生んで間もないうちに、事情によってわが子を手放していたんですよね。
その娘を探しに、アナはイスラエルのガザ地区に行く事になります。
弟のウリは、そのガザからのユダヤ人撤退を強制手段で実行する任務があります。
弟のウリは、そのガザからのユダヤ人撤退を強制手段で実行する任務があります。
まぁこのジュリエット・ビノシュ演じる女性アナの "顔" の変わりようが見ものですかねぇ。
最初は、どこか浮遊感漂う掴みどころの無い女性を演じてるんですが、ガザに入ってからの顔は "母性" を漂わせた女性へと変わります。
おどけながら弟のウリにヌードをちらつかせる姿とは打って変わった顔ですね。
ちょっと貫禄が付いてきたビノシュですが、まだまだスタイルは見もの?(笑)
ちょっと貫禄が付いてきたビノシュですが、まだまだスタイルは見もの?(笑)
パレスチナ問題と言うあまりにも政治的なテーマを背景にした作品だから、その緊張感は大ですね。
イスラエル警官ウリのセリフに監督自身のメッセージも多分に含ませて、解決の糸口が見えない混沌とした問題を語っています。
イスラエル警官ウリのセリフに監督自身のメッセージも多分に含ませて、解決の糸口が見えない混沌とした問題を語っています。
ビノシュ演じる女性アナの目線で描かれてますが、どこか客観的な目線もこの監督ならではなんでしょう。
ドキュメントチックとも言えるけど、やはりあくまで客観的。
だからこそ、こういうテーマを扱えるのかもしれませんね。
ドキュメントチックとも言えるけど、やはりあくまで客観的。
だからこそ、こういうテーマを扱えるのかもしれませんね。
女性弁護士役でジャンヌ・モロー、アモス・ギタイ監督自身もドライバー役で出演してますよ。